大腸・肛門科の疾患

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群になると、下痢や便秘などの便通異常、腹痛、腹部膨張感といった症状が現れます。成人の約10%が罹患しているともいわれ、決して稀ではない病気です。
主に大腸の運動や分泌機能の異常が原因で発生し、大腸や小腸の機能を大きく損なうことはありません。ストレスも症状を悪化させる原因となり、ストレスがかかりやすい現代社会では、以前と比較して患者数が増えています。過敏性腸症候群は、薬物療法や食事療法によって症状の改善を目指します。

原因

ストレスや遺伝が過敏性腸症候群の発症に深く関わっていると言われていますが、明確な発症メカニズムは現在のところ解明されていません。近年、腸のはたらきは脳からつながる神経と密接に関わっていて、脳腸相関といわれており、この異常との関与が指摘されています。

診断

過敏性腸症候群の診断では、診断基準(ローマIII基準)に基づく症状の問診と内視鏡検査(大腸カメラ検査)で腸炎やがんなどの器質的疾患を除外した上で、各種検査結果を踏まえて診断されます。

大腸内視鏡検査
(大腸カメラ)

虚血性大腸炎

虚血性大腸炎とは、なんらかの理由により大腸の血流が悪くなることで、炎症を生じる病気のことです。一般的には高齢者、便秘体質の人、高血圧症や動脈硬化症に罹患している人、女性に多いといわれています。突然の強い腹痛や下痢で発症することが多く、血便がみられる場合もあります。

原因

大腸粘膜内の血液の流れが一時的に低下することによりおこります。糖尿病や高血圧症、脂質異常症による動脈硬化が背景にある場合や、脱水や便秘による大腸内部の圧力の上昇などにより発症するとされています。

診断

虚血性大腸炎では腸管に虚血状態(血流が滞っている状態)を反映した“むくみ”がみられることが多く、腹部超音波やCT、大腸カメラ(内視鏡検査)で確かめることができます。また、血液検査では腸炎の程度を示す数値の上昇を認めることができ、病状の程度を判断する際に役立つことがあります。

大腸内視鏡検査
(大腸カメラ)

虚血性大腸炎の治療法

虚血性大腸炎は一般的に予後良好で、軽症の場合は腸管を安静にすることで回復します。病状が悪い場合は入院して絶食のうえで点滴治療を行います。絶食は腹痛や血便などの症状が落ち着くまで続け、その後は消化の良いものから少しずつ食事を再開します。重症の場合は、後遺症(腸管狭窄)がみられることもあります。また、大量の出血や腸管の穿孔(穴が開くこと)、大腸の壊死などの重い症状がみられる場合は手術が必要になることもあります。

急性胃腸炎

急性胃腸炎には「非感染性胃腸炎」と「感染性胃腸炎」の2種類があります。非感染性胃腸炎の原因は主に食べ過ぎや寒冷、感染性胃腸炎の原因は細菌やウイルスの感染もしくは感冒性胃腸炎です。感冒性腸炎とは、アデノウイルスやノロウイルスといったウイルス感染により発生する腸炎を指します。症状として多いのは下痢や嘔吐、腹痛で、炎症の程度が大きい場合は発熱や血便を伴うことがあります。

原因

急性胃腸炎には、ウイルスや細菌、寄生虫などの感染が原因となる“感染性胃腸炎”と、それ以外の原因による“非感染性胃腸炎”があります。感染性胃腸炎は、頻度が高く、食品や水、人、動物、その糞便などを介して、ウイルス・細菌・寄生虫などに感染して生じます。特に食品を介して複数の患者が集団発生した場合は“食中毒”といわれます。

診断

急性胃腸炎の診断は、主に患者の症状の経過、体の状態、食事の内容などの情報をもとに行われます。特に、ノロウイルスやロタウイルスといったウイルス性腸炎や、サルモネラ菌や病原性大腸菌などによる細菌性腸炎が疑われる場合には、便の検査によって原因となる病原体を特定することが可能です。さらに、脱水の有無や貧血、腎機能の異常などを評価する目的で、血液検査や尿検査を実施することもあります。

炎症性腸疾患

炎症性腸疾患(IBD)とは、腸管に慢性的な炎症を発生させる疾患の総称です。一例としては潰瘍性大腸炎やクローン病があり、国の指定難病として認定されています。主な症状は腹痛や下痢、血便を繰り返すことです。

原因

難病に指定されているように、炎症性腸疾患の発症メカニズムは現時点では解明されていません。しかし、潰瘍性大腸炎は免疫機能の異常や食生活の乱れ、遺伝的要素が一因であると考えられています。また、クローン病は食物成分や腸内細菌などによる免疫反応の異常、遺伝などさまざまな発症の原因となる説が挙げられていますが、潰瘍性大腸炎同様にまだ明らかになっていません。

診断

症状や血液検査、CTなどの画像検査や大腸内視鏡検査(大腸カメラ)など各種検査を行い疾患の範囲や程度を慎重に評価します。発がんリスクを確認するために、粘膜の一部を採取して生体検査を行う場合もあります。

大腸内視鏡検査
(大腸カメラ)

大腸ポリープ・大腸がん

大腸ポリープとは、大腸の内側にある粘膜がイボのように突出した状態です。多くは良性のポリープであり、治療が不要なケースもあります。
一方の大腸がんは、同じく大腸の粘膜に発生した悪性腫瘍です。がんとして正常な粘膜から出現することもあれば、腺腫というポリープが悪性化してがんになることもあります。

原因

大腸ポリープ・大腸がんの原因は加齢や生活習慣、遺伝的要因によるものが指摘されています。動物性の赤肉の過剰摂取、ハム、ソーセージ、ベーコンなどの加工肉の過剰摂取、アルコールの過剰摂取や喫煙も大腸癌の発症に深く関わっています。また、近親者に大腸がんの既往がある場合も発症リスクが上がるため、注意が必要です。

診断

ポリープやがんがあるかどうかを調べるもっとも簡便な検査は便潜血検査です。それが陽性であれば精密検査として大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を用いて病変の有無を確認する必要があります。しかし、便潜血検査には限界があり、一定の割合で見落としがあることが指摘されております。検査が陰性でも、大腸カメラを行うとポリープやがんが見つかるケースがままあります。心配な方は積極的に大腸カメラを受けましょう。

大腸内視鏡検査
(大腸カメラ)

大腸ポリープ・大腸がんの治療法

がん化するリスクがないと判断されたポリープは経過観察が基本です。がん化のリスクがあると判断されたポリープは、内視鏡による切除を行います。また、がんと判断された場合には、進行度に応じて内視鏡的もしくは外科的切除を検討します。切除困難な場合は、抗がん剤治療や放射線治療などを行います。

Treatment

当クリニックでは知識と経験のある専門医が、
患者様の症状を正確に診断・症状に合わせて適切な治療をご提供します。
消化器のことでお悩みの方は、ぜひ一度当クリニックまでご相談ください。